掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は膿が溜まった膿疱と呼ばれる発疹が、手のひら(手掌)や足の裏(足蹠)に数多く出来る疾患です。
膿疱は、炎症反応に関係する「好中球(こうちゅうきゅう:白血球の一種)」が皮膚の一番上層にある角層に溜まった状態です。
慢性的に経過し、周期的に症状がぶり返します。発疹は、最初は小さな水疱で、徐々に化膿していき、次第に黄色に変化します。その後かさぶたになり、角層が剥げ落ちます。しかしこれで治るわけではなく、すぐに再発し、慢性化をたどると、皮膚が赤黒くなり、角質も増殖して激しい痒みや、時には痛みをともなうこともあります。
また、慢性的に経過する中で、突然、鎖骨や胸の中央の胸鎖肋関節などの関節が痛くなることがあり、掌蹠膿疱症性骨関節炎と呼ばれます。この痛みは非常に強く、日常生活が困難になるほどのこともあります。
さらに放置すると、関節の変形などにもつながります。そのため、適切な治療が必要になってきます。
掌蹠膿疱症は、発疹の中の液体からはウイルスや細菌は見つからず、自己免疫(自分自身の組織に対して免疫が攻撃的に作用すること)が関係する疾患ではないかと推測されています(そのため他人にうつることはありません)。
掌蹠膿疱症の治療法
この病気は細菌やウイルスが原因ではないため、抗生物質のような薬は効果がありません。そのため、炎症を抑える対症療法が主になります。
治療は、重症度によって変わってきますが、まず炎症を抑えるためにステロイド軟膏、ビタミンD3軟膏を使います。ただ、外用薬だけですと、なかなかコントロール出来ないケースが多いようです。その場合、さらに強力な治療として飲み薬が必要になってきます。掌蹠膿疱症性骨関節炎が起きた場合は、免疫抑制剤なども使用します。
掌蹠膿疱症の原因はまだ不明なため、治療はいずれも対症療法になります。
なお、掌蹠膿疱症は、禁煙あるいは減煙も大切と思われます。
症例 (掌蹠膿疱症)